本日は「右手中指の痺れが気になった整形外科でレントゲン撮ってもらったけど原因がわからなかった」との訴えで来院された方の施術の組み立て方について書いていきます。
Contents
右手中指のしびれに対する院長の施術の組み立て方
〈症例紹介〉
70代女性、主婦
趣味は園芸、旅行
〈来院までの経過〉
H30.6月に旅行先で転倒し右手を強打した(内出血あり)。その時は症状がなかったがH30.9月に急に痺れが出てきた。その後徐々に痺れが強くなりH30.11月痺れが我慢できなくなり来院。
〈既往歴〉
・両股人工関節全置換術
〈主訴〉
・右手の中指が痺れる
・第4指も痺れるようになってきた
・右手が使えなくなるのが怖い
評価:中指のしびれの原因を探る
手のしびれと言えばまず最初に“手根管症候群”を疑います。
しかし、整形外科でレントゲン・MRIを撮ったが異常なしのと診察結果だったため手根管症候群の可能性が否定されました。
次にしびれが出ている範囲が右手中指だけだったので、正中神経の中指のみの神経障害によるしびれであると判断しました。
正中神経は脇から分かれて前腕の真ん中を通っているため、前腕の真ん中周辺の筋緊張を触診して確認したところ、上腕二頭筋・円回内筋・浅指屈筋・前腕骨間膜に硬さを感じた。
そこで手指に対して末梢にある筋からアプローチを行った。
しびれは筋肉が原因だった!?
上腕二頭筋へのアプローチ
まず上腕二頭筋に対してアプローチをおこなった。この筋の遠位部の腱の部分がトンネルとなっておりそのトンネルを正中神経が走行しています(イラストのAの部分)
上腕二頭筋の緊張が高くなるとトンネルが狭くなり神経絞扼を引き起こすことがあります。しかし、上腕二頭筋に対するアプローチをおこなった後、筋緊張の低下は確認出来たもののしびれの減弱は見られなかったた。
円回内筋へのアプローチ
次に円回内筋に対してアプローチをおこなった(イラストBのところ)。
この筋は候補としてあげた筋のなかで1番圧痛が強く筋緊張が高かったため神経絞扼の原因になっている可能性が高いと考えていた。
この筋に対してアプローチをおこなった結果、指のしびれが100点満点中40点まで軽減しました。
浅指屈筋・前腕骨間膜へのアプローチ
次に浅指屈筋に対してアプローチしました(イラストCのところ)
しかし、変化が見られなかったためさらに深層にある前腕骨間膜に対してアプローチをおこなったところ40点のしびれが0点まで軽減しました。
前腕骨間膜と正中神経は筋膜と神経周膜でつながっていると言われており、前腕骨間膜が固くなると正中神経の神経周膜を引っ張っりしびれの原因になります。
今回のケースも症状の軽減が見られたため当てはまると考えられました。
中指のしびれに対しての考察とまとめ
今回、右手中指のしびれに対して施術させていただきました。1番原因として考えられる『手根管症候群』を疑われ、レントゲンを撮るも異常なし。薬を処方され終了。
結局は筋肉や骨間膜といった別のところに原因があったケースでした。
いまだにこのような方が多いと思うと残念で仕方ありません。レントゲンではあくまで骨の異常しか見ることができません。痺れの原因はむしろ筋肉や血液循環なの骨以外のことが多いです。特にこの方は筋肉の影響が強く見られました。
「レントゲン・MRIをとって異常がなかったから原因がわからない」とこのかたはおっしゃっていました。これらの検査をすれば必ず原因が追求できるとは限りません。
病院で検査を受けたが原因がわからない。どこに聞けばいいかわからない。そんな方を1人でも救うために私がいると考えています。
痺れの本当の原因がわからずにお悩みの方はご相談ください。
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